MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

思いもかけないクレーム~【11/26 オースのジョー14】

令和5年、ムゲプラ最後の大須公演は、人気落語家古今亭菊之丞師匠の独演会でした。
よく、当たりはずれなどと言いますが、菊之丞師匠の高座にはほとんど外れがありません。そして、その語り口には江戸の風がビュービュー吹いている。昨今はやりのギャグや入れごともほとんどなく、それこそ本寸法の代名詞のような落語家さん。
またいつもは中入り後に色物さんをお願いしていましたが、今回は久しぶりの落語家さん、柳家小せん師匠。一緒の昭和カラオケサークルに所属していたりで交流もあるためか、なごやかな雰囲気で会は進行していました。

「転失気」さく平
「お見立て」菊之丞~中入り~
お血脈」小せん
文七元結」菊之丞

中入り後、受付に立っていたスタッフのもとに、一人の男の方が歩み寄り、何か言っているのを目にしました。何かスタッフがしくじったのか、前半の会で携帯が鳴るとか、トラブルがあったのか…。心配して聞くと、その内容は意外なものでした。

「一昨日ここに来た時もおなじ『お見立て』だった。もっと期間が空いているならまだしも、2日前と今日で同じネタはおかしいじゃないか。しかも同じ古今亭。両方来ている人だって多くいるんだから、気を遣わなきゃダメだろう。今時はSNSとかで何のネタが出ているかわかるんだから、それも調べてネタが被らないようにしてほしい」

説明すると、東京の寄席は昼の部の間は同じネタはかけない。それどころかたとえば殿様が出てくればその傾向の噺はかけないし、与太郎、夫婦、などの傾向の噺が出ればそれも避ける。俗に「ネタが付く」と言われます。また、昼夜通しのお客様を想定して「初天神」が昼間出たら夜は避ける。それが寄席の不文律。

それを踏まえてこの日の場合で言うと、金曜日の夜席にはじめ亭しげたさんが行なった公演で、確かに雲助師匠が「お見立て」を演っています。場所もおなじ大須演芸場
楽屋のネタ帖にはそのネタは書いてあるはず、それは確かにそう。でも主催者が違い、日時も違い、お見立てをかけた演者も違う。その状況で菊之丞師匠に「お見立て」はやらないでほしいと頼むことはできません。過去13回の公演で何を演じたかのほうが師匠にとっても主催者にとっても重要。ただ、落語ファンからしてみたら同じネタかよ、と思うのも必然。さてどうしたものか・・・。と考えさせる公演になってしまいました。

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