喬太郎師匠は、とにかく多忙です。基本的に、学校寄席でも地方の会でも、呼ばれればギャラに関係なく駆けつけるのがスタンスで、それは今でもあまり変わりません。
名古屋では私が公演を行なうようになった15年前にはすでに定期的にお呼びしていた席亭さんが2軒。ただ、大須演芸場にはキャパシティーの問題もあり定期の会はありませんでした。
大須演芸場での定例をお願いするにあたり、私が迷いなくお願いしたのが入船亭扇辰師匠との同期の二人会。それは以前から、二人会はお互いの相性が大事と考えている私にとって最良の組み合わせ。特に毎年この時期、直前に東京で定例の二人会を行なっている関係でその熱気をそのまま名古屋に持ってきていただければ、そんな考えがあったのです。
ただ、今年国立演芸場が建て替えのため閉鎖となり会が6月にずれ込んだことでその流れは断ち切られてしまったのですが、今回はそのためか、東京の会そのまま、いやそれ以上のクオリティーを大須演芸場で味わうことができました。
「やかん」辰ぢろ
「死ぬなら今」扇辰
「錦の袈裟」喬太郎 ~中入り~
「侵略指南」喬太郎
「江戸の夢」扇辰
後半の2席は、二人の信頼関係。
どんなにキテレツな噺でちらかしても、あとをしっかり締めてくれるという喬太郎師匠の扇辰師匠に対する信頼感が、この演目に現れています。
とかく地方に来れば、高齢のお客様、一見のお客様をおいてけぼりにするわけにはいかないと、定番の古典を演じる噺家さんがほとんどの中で、名古屋の通のお客様がいつもおっしゃっている願望。
「江戸でやっているそのままを名古屋で聴きたい」
今回の四席の流れは、その願望に応えることができたかな、そんな気持ちでお客様を送り出すことができました。ご来場、ありがとうございました。