MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

【師匠の果たせなかった夢は、獅鉄がかなえる】~夢丸・獅鉄二人会

「愛して2・夢丸、獅鉄二人会」終演しました。
この会の趣旨は、名古屋の地に骨を埋める覚悟を決めた若者を、東海落語界の先頭に立っていけるよう応援することです。だからと言って、会のクオリティーを下げるのはお客さまにも失礼に当たります。そこで、獅鉄さんとの相談の結果、お招きする噺家さんにも真価を発揮して頂くプログラムを作りました。

1.ごあいさつ 2.獅鉄 3.夢丸 4.獅鉄ネタおろし 中入り 5.ダメ出しトーク 6.夢丸

今回失敗したと思ったのは、あくまでお招きする噺家さんはゲストだから、一席軽いネタくらいかなあとお客様が思いそうなチラシの作り方、宣伝の仕方をしてしまったということです。きちんとお客様から木戸銭を頂く公演なのですからそんなことはするはずないのですがそう思われた方もいらっしゃったと聞きます。次回からの反省材料です。

「転轍機」獅鉄 「憶病源兵衛」夢丸 
「ペーパーウェイト卿」獅鉄  「蛙の子」夢丸

アンケートの感想に、興味深いものがありました。夢丸師匠の珍しいネタを演じる引き出しの広さに全てのお客様が高い評価をしていたその一方、獅鉄さんへは好意的なものがほとんどの中、多少早口なところを指摘する辛辣な意見も見受けられたのです。

私はソデで聞いていて、新作を作るその才能、またそれを聞かせる話術は今の芸歴では考えられないほど高いと感じましたが、そもそも新作というジャンルを好まないお客様が一定数いることも現実として把握しています。
それだけ新作を作って生きていくというのは噺家にとってとてもハードルが高いこと。それを最も体感していたのは、獅鉄さんの師匠、その当時の雷門獅篭さんでした。

獅篭さんを初めて聞いたのは東京、中野小劇場、まだ前座でした。長髪に真っ白な着物で破天荒な新作をかける前座、果てしない可能性を秘めた若者は、運命のいたずらで名古屋に流れ着き、この地で生きていくため、名古屋の高齢者にも受け入れられる古典と新作を演じる代わり、異端の落語を捨てました。

あの時代は、まだ名古屋のお客様は成熟していなかった。でも今なら…。
獅鉄さんには自分のやりたいことを貫いていってほしい。そして師匠が果たせなかった新作落語の土壌を築き上げていってほしい。そう願ってやみません。

次回は5月21日、日曜日の昼席。お相手は、春風亭百栄師匠。今度は新作落語の大先輩です。もしかして今回にも増して、古典が好きな方は来ていただけないかも知れないけれど、私はこの会を続けることが若手を育てることだと思っていますし、この地で公演をやらせて頂いている私どもの使命だとも感じています。

今回のお客様、50人。これが多いのか少ないのかはわかりません。
でも、壮大な実験の会だと位置づけ、これからも続けていきます。

最後になりましたが、若手の応援に理解を示し協賛して下さった中日コプロ様に、この場をお借りして感謝の念を述べさせて頂きます。

ありがとうございました。

この先も若手育成にご協力よろしくお願い申し上げます。