MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

【扇橋師匠に目指してほしいもの】~辰のオトシゴ FINAL

人間には、一年に一度その日が来ると必ず思い出す日が何日かあると思います。
例えば私でいうと、家族の誕生日や特別な出来事があった日。6/26は猪木vsアリの試合の日とか。その中で妻の亡くなったお父様の誕生日が9月10日で、私の父の誕生日が9月11日と、連続しています。ただでさえ覚えている記念日に、今年は連続して忘れられない日出来事がありました。

9月10日。この日は応援している小辰さんの真打昇進パーティーの日。
妻が代表で帝国ホテルに出掛けて行きました。

そして9月11日は、この小辰さんの二つ目として最後の大須演芸場公演。
奇しくも二つとも、小辰さんがらみの出来事。まして今回の最後の刺客は、笑点レギュラーが決まってスケジュールが分刻みの宮治師匠。協会は違えどもユニットを組んでいる仲間でもあり、最後の小辰を熱くする会としてはベストの選択だと思いましたし、オープニングの25分トークも含めてお客様は大爆笑の会となりました。

「オープニングトーク25分」宮治・小辰
「あなごでからぬけ」十八
「転失気」小辰 「宗論」宮治 ~中入り~
蜘蛛駕籠」宮治 「藪入り」小辰

オープニングトークの中心は、披露興行のチケット売りの話。
宮治師匠の時やその次の昇進の時、芸協の披露目のチケットが売れたという話になり、その流れで中入りで小辰さん自ら東京のご自分が主任のチケットを売っていたのですが、「こういうことは苦手」と顔に書いてある、と言えるほど不慣れでした。
正直こういうことに限っては爆発的な才能を持つ宮治師匠の前ではさすがの小辰さんもたじたじ、中入りを挟んで二席、観客を爆笑の渦に巻き込んだこともあり、5回目となる「小辰を熱くする会」の最後は、だれがどう見ても100%「宮治ワールド」でした。

あの「藪入り」を聞くまでは。

正味40分。本寸法でいながら、ところどころに小ネタを挟み、それでいて噺の中身を壊さない。若手とは思えない、ものすごい技術の結晶。それまで宮治ワールドにどっぷり浸かっていたお客様がひとり、またひとりと陸に上がってくる。気がつくと、演芸場全体が小辰さんの船に乗り換えていました。

これだよ、これなんだよ小辰さん・・いや、扇橋師匠。

かめちゃんの帰ってくるのを待っている父と母。そして子供には似つかわしくないお金を持っていることに、心配で心が張り裂けそうになる父と母。親子の物語をあの歳で、丁寧に丁寧に情景を映し出していくあの技術は、彼にしかないもの。

扇橋師匠、無理にチケット売ったりしなくても、あなたの落語で鈴本は埋まります。
大須だって、だんだんとお客様が増えてきたじゃないですか。これからも、そうやってコツコツいきましょうよ。入船亭扇橋桂宮治のサクセスストーリーの真似はできないけれど、逆に桂宮治にはあの藪入りは真似できない。それほど秀でた「藪入り」。
そういう力があるからこそ、10代目を一門の皆様があなたに託したのですから。

さあ、新たなスタートです。年明け2.22は大学の先輩 春風亭一之輔師匠と。
そして、まだ日程は不明ですがその次は入船亭扇遊師匠との会が決まっています。
新しい会の名前は「せんきょう報告」。9月10.11日は、毎年絶対思い出す、私たち夫婦の記念日になるでしょう。真打扇橋、これからも応援をしていきます。