MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

「はしごしました」~由瓶・兼好二人会が終わって思うこと

東海地方に移住してきた今から15年ぐらい前は、一部の笑点メンバーなど大御所の会以外は、落語会の数はそんなに多くありませんでした。老舗のプロモーターが三三師匠を売り出そうとして会をなさっていたことがとても新鮮に思えたほどでした。

あれからすぐ、落語ブームの流れで名古屋周辺にはものすごい数で会が増え、現在でも各自治体などが市内のホールを使って我も我もと公演を行なっています。

落語会の主催者は、基本的に横の連絡網を持っていません。というか、ほとんど合同で公演を開催することもなく、それぞれの都合でのみ会が企画されます。そんなわけもあり由瓶、兼好が行なわれた6/19は、日進市志の輔独演会、金山で喬太郎・白酒二人会がバッティングする落語ファンにとっては頭の痛い一日となったようです。

そんな背景もあって、この日の公演にお客様がどのくらい来ていただけるのかは寸前まで気をもみました。まして、江戸落語の兼好師匠は名古屋でもおなじみですが由瓶さんは上方の、そんなに名古屋にはいらっしゃってない方。この日から始まった「東西落語交流~EAST&WEST」企画のスタートがどのくらいお客様に浸透しているかも心配の一つでした。

ただこれだけは、どこにも負けていないと自負しているのが「組み合わせによる相乗効果」です。組み合わせでお客様に喜んでいただくには。1+1が2ではだめなのです。5にも、10にも笑いが増幅していってこそ、うちのような弱小プロダクションが存在する意味がある、それを、大須演芸場をほぼホームに活動し始めてからずっと言い続けてきました。口幅ったい言い方ではありますが、「お客様の意識をあげていく」「お客様を育てて、私たちも成長していく」そんなことに力を注いできた10年。そして、この日。

「110」

前回の二人会よりも40%増しのお客様が!由瓶さんが高座でおっしゃっていたように、この状況下でこれだけのお客様が詰めかけた。そのことがどれだけ意味のあることか。すっと継続してきたことが実になっているんだなあ、そう感じられた一日。
でも、そのあと、もうひとつの出来事が起こりました。

「だらだらフリートーク」由瓶・兼好
「延陽伯」源太 「鰻屋」兼好 「次の御用日」~中入り
阿弥陀池」由瓶 「風呂敷」兼好

中入りが終わり、後半の部が始まる直前に、一人の女性が足早に入ってきました。
その時は気づかなかったのですが、その夜ツイッターでたまたまその方と思しきツイートを発見して、とても驚きました。

そこには喬太郎・白酒二人会と由瓶・兼好二人会の、両方の感想が書かれていたのです。

「はしご、したのですか?」・・・「はしごしました」

きけば、両方のチケットを買っていて、喬太郎師匠のトリネタを諦めてこちらへ来たと。中入りの時間もいつになるかわからないのに、わざわざ移動してきて下さった方。

トークが長引いたので中入り後2席に間に合ってよかったです」
安くない両方のチケットを持ち、こちらをあきらめず走ってきて下さったお客様、
「また、次も頑張れるね」

帰りの車の中で、かみさんが私にそう言ってくれました。

・・・・つぎも、がんばろう。

6.26日曜、松喬・扇辰二人会。

・・・・西文化で同じ時間に市馬独演会です。

「はしごして、くんねえかなあ。」(笑い)