MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

【極寒の名古屋、年の瀬に光る四つの原石。】

日本の北半分が真っ白な雪化粧に染まり、寒さに震えたこの日の名古屋。
年の瀬のあわただしい中、MUGEプランニング今年最後の公演を開催しました。
と言ってもいつもの大須演芸場ではなく。那古野の円頓寺レピリエでの昼夜公演。
チラシタイトルに「MUGEプランニングが惚れ込んだ東西の精鋭」と謳った手前、お客様の期待度という意味でハードルはかなり高くなっていましたが、そんな心配も杞憂に終わるほどの個性的な四人が吹き飛ばしてくれました。

第1部
初天神」 あお馬
皿屋敷」 源太  ~中入り~
「人数合わせ」源太
「夢金」  あお馬

あお馬さんの落語は、「様式美」である。
落語協会という最大の組織、そして最もメジャーな「柳」派の若手として、本寸法を崩さない安定感抜群のたたずまいが、古典派のお客様に安心感を与えている。
俗にいうなら「間違いのない」芸風なのである。

対する源太は、四人の中で一番の若さを武器に、「陽気でさわやかな」上方落語
陽気に押しまくるがそこにくどさを微塵も感じさせない明るい芸こそ、源太くんの持ち味。一言でいえば硬派と軟派の組み合わせだがこれが絶妙のバランスでお客様の中に入り込む感じ。「あお馬さんの落語を聴きに来たのですが、これからは上方落語も聞きたい」というアンケートに象徴される、それは素晴らしい落語の本道を行く会でした。

 

第2部
「加湿器」今いち
「画面の向こう」獅鉄 ~中入り~
「ディ〇〇ーほめ」獅鉄
「トライアングル」今いち

第2部は、うってかわって新作対決。「ラーメン屋」などでおばあさん落語で一世を風靡した古今亭今輔の系譜を受け継ぐ由緒正しい新作落語の一門でありながら、袴をサスペンダーで吊って登場し、羽織を脱ぐタイミングでサスペンダーを外す。
あげくに高座の周りをうさぎ跳びで飛び跳ね、挙句の果てに高座の上でリンボーダンスをする、あらゆる意味で客を裏切り続ける今いちくん。またトリでは古典落語のストーリーを現代に変えほっこりさせる新作も披露。

それに対して獅鉄くんは、近未来のSFチックなほろりとする噺と、ただただ歌い続ける牛ほめもどきの噺の二席。彼は江戸でも上方でも培養することができない、まさに雑草のようなハイブリッド落語というべきか。ここ名古屋だからこそ成立したキャラクター。こんなぶっとんだ新作の会は名古屋でははじめてなのでは?と思ってしまうような、個性あふれる会となりました。

今年ももうすぐ終わります。締めの公演は限りない可能性を予感させる素敵な会。
押し迫った師走の寒空に、間違いなく四つの原石が光っていました。

本年はブログをご覧いただきありがとうございました。
どうぞよいお年を、来年もMUGEプランニングを、ぜひよろしくお願い致します。

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4/23(土)神田伯山長野独演会、チケットお急ぎ下さい。

一年に一度の神田伯山独演会、昨年コロナの関係で会場が上山田文化会館になりましたが、今年は北野文芸座にて二年ぶりに通常通り行うこととなりました。

当オフィスはコロナ対策、ならびに転売防止の観点からチケットぴあ、イープラス、ローソンチケットなどのネット販売をいっさい行なっておりません。専用アドレスへのメール、専用ダイヤルへの電話にて下記の要領で受け付けさせて頂いております。
なお お席の指定にはお答えすることができません、
2/7現在、かなりのお席が埋まっていますのでご希望の方はお急ぎ下さい。

神田伯山 長野独演会
令和4年 4月23日(土)14:00開演(13:15開場)
会場 長野市 善光寺門前 北野文芸座
入場料金 ¥3,800 

◎残席些少

※メールは24時間対応、
電話は10:00~20:00

◎専用メールアドレス
 mugeplan51@au.com

◎専用ダイヤル
 070 2673 1203

※メール・電話共に、お客様のご住所、お名前、連絡先、枚数をお知らせ頂き、
こちらから先にチケットを送らせて頂き、10日以内に同封の郵便振替用紙でチケット代をお振込みいただくシステムになります。

お客様のご予約を心よりお待ち申し上げております。

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「丞様のフ・シ・ギ」~オースのジョー10雑感~

早いもので菊之丞師匠の独演会を手掛けて5年が過ぎました。西文化小劇場で1回、大須で10回の計11回を過ぎ改めて菊之丞師匠の落語家としての安定感に感服しています。

こんなことをいうのは席亭としてはいけないのかもしれませんが、こういう仕事をしていると、まだ師匠を知らないお客様から「菊之丞師匠はどんな噺家さんなのですか?」と何度か聞かれていますが、正直、師匠を簡潔に表す言葉が見つからず、いつも「本寸法の噺家さんですよ」というあまり答えとしては秀逸ではない答えを返していました。

でも、本寸法って何かと聞かれれば、自分にもこうであるという定義はありません。
きちっと教わった通りにやることが本寸法ならかなりの数の噺家さんが本寸法ですし、昨今の落語事情をつぶさに見れば、教わった通りのことをきちんとやっている噺家さんが日の目を見ているとは限りません。むしろ逆に入れごとの面白さで笑いをとったり、古典落語の骨格をそのままに設定を現代に変えて演じる噺家さんに人気が偏る傾向を感じています。

その点でいうなら、菊之丞師匠は何も目新しいことをしているわけではありません。
その噺のマクラも、コアなファンなら聞き飽きているだろう定番のものをふってそのまま噺に入り、そしてサゲもそのまま、古典の通りです。なのに人気があります。名古屋でのこの会も、毎回安定の客入りです。まして今回は同じ日に愛知県内で同じ時間に一之輔、文菊、いちか三人会、羽島で鶴光、たい平、白鳥三人会がバッティングしてお客様が分散することが予想されたのですが、ふたを開けてみれば安定の入りでした、

なぜなんだろう。どうしてなんだろう。

師匠の高座って、妙な安心感があるのです。
今回の芝浜も、お客様のアンケートは絶賛、他の誰でもない、「菊之丞師匠の芝浜」を聴けたと満足してお帰りになる方ばかり。まさに王道の落語。でもその雰囲気を醸し出せる何かがあるに違いない。

なぜなんだろう。どうしてなんだろう。

菊之丞師匠と同じような芸歴の噺家さんでも、達者な人はいます。所作がきれい?でもそれも、ほかに所作のきれいな方も何人も知っています。でも、達者とか本寸法とかの表現では測れない、そんな魅力が菊之丞師匠にはあって、それをみなさん、心地よく受け止めてお帰りになられる。

結局それが何かは、私にも説明できません。今回の二席を聴いてもなお、この疑問に対する明確な答えを得ることはできませんでした。でもいいのです。そのままの、等身大の師匠の落語が聞ければいいの。ずっとこの会が続けばいいの。そんなお客様がいらっしゃる限り、この会は続きます。不思議はずっとフ・シ・ギのままで・・・・。

・二つ目昇進決定挨拶 (菊之丞・まめ菊)  ・鰻屋 まめ菊
・片棒 菊之丞  ・音曲漫談 のだゆき  ・芝浜 菊之丞     

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ムゲプラ大須スペシャルウィーク3~ 扇々喬々4・雑感

「若手の頃、バス旅行の余興に辰ちゃんと行ったんですよ。何とかうけないといけないと思って●×クイズとか考えたりして。辰ちゃんが考えたクイズで一番鮮明に覚えているのが 春〇亭小〇はオカマである  もちろん正解は×ですけど。」

同期の扇辰師匠との思い出を語る喬太郎師匠。彼は落語家になる前は落語ファン。体中全てが落語でできています。だから落語ファンの気持ちが誰よりもわかります。だから彼の落語はお客様の心をつかみます。決してしゃべり方も流暢なほうではないけれど、その語り口の全てに、落語への愛がにじみ出ているから人気があるのかもしれません。

扇辰師匠の喋りは、究極まで間をとっての独特のもの。
この日演じた百川は、今まで聞いた誰よりも百兵衛さんのキャラが変でした。
江戸前の本寸法とか評されるけれど、彼の高座は強弱のはっきりした、いわば「くさく」しゃべります。なのにしつこさがなくて、聴きづらくない。
この辺が厳しい修業の中から学んでいったプロの技、なのかもしれません。

11/8 (月)18:45開演 扇々喬々4~扇辰喬太郎二人会
「子ほめ」辰ぢろ  「たいこ腹」喬太郎  「百川」扇辰
~中入り~ 「紫檀楼古木」扇辰 「名人長二~仏壇叩き」喬太郎

この二人の会に、外れはない。
それをプロデュースできることの、幸せ。
まもなく還暦を迎える同世代のお二人とかかわれる自分に、感謝。
次回は4月18日(月)18:45開演。桜の花はもう散っているかなあ。

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ムゲプラ大須スペシャルウィーク2~ゆめ☆こち 夢丸・小痴楽二人会雑感

今から32年前の1989年、前田、高田、長州らが離脱して選手層の薄くなった新日本プロレスが、若手の成長を期待して後楽園ホールで開催した公演があった。その名も
夢☆勝ちます」略して「夢☆勝ち」。命名したのは当時リングアナウンサーとして人気だったケロちゃんこと田中秀和氏。新型コロナで生死の境をさまよったけれど回復、もうじき復帰の現在の田中ケロさんである。

あの時、この企画を推し進めていったからこそ今の新日本プロレスの隆盛があるわけで、若手の躍進の原動力となったこの「夢☆勝ち」を、30年以上たってから拝借したのがこの日開催された夢丸・小痴楽二人会だった。

夢丸と小痴楽だから「ゆめ☆こち」なんだろうけど、真ん中の☆がなあに?
お客様に何人も聞かれたこのタイトルの由来はプロレス興行だったのです。

昨今の落語界は、落語芸術協会の若手の人気の上昇がすさまじく、その先頭にいるのは先代痴楽の息子、正真正銘のサラブレッドの小痴楽師匠ですが、前回の文治師匠との二人会の日に仕事をだぶって入れてしまったことで急きょスケジュールを調整してこの日に仕切り直しで来ていただくことに。相方が夢丸師匠になったことは全くの偶然でしたが、その結果この日のコンセプトははっきりしたと思います。

「小痴楽がしくじった時に前座のトップとして代わりに謝る関係」

最初に出てきた夢丸師匠がこのネタで客席を完璧に笑いの渦に巻き込んだおかげで、あとの小痴楽トークがさえにさえる。「どれだけ夢丸師匠に迷惑を掛けたかだけでも申し訳ないのに、真打になってもまだ迷惑をかけることになるとは」この時点で二人会は大成功となりました。

10/31 17:45開演 ゆめ☆こち 夢丸小痴楽 二人会
「道灌」獅鉄 「妻の酒」夢丸   「崇徳院」小痴楽
「欠伸指南」小痴楽   「突き落とし」夢丸

小痴楽師匠は夢丸師匠の前ではキレッキレの高座を見せて下さいました。
そして夢丸師匠は、持ち前の明るさでお客様をとりこにしていらっしゃいました。
会の終了後はお二人とも外へ出て、写真撮影を兼ねたお見送り。
コロナの影響でお客様との撮影は禁止でしたから、お二人並んでの写真を皆さんとても楽しそうに撮影していらっしゃいました。
芸協の若手はすくすくと成長しています。そのことが確認できただけでもこの会を開いた意義があったし、まさにその意味ではこの日の会は、夢☆勝ちますの意味にぴったり合致した、とても良い会でした。ご来場、ありがとうございます。

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ムゲプラ大須スペシャルウィーク1~雲助たっぷり雑感

何年か前、TBS落語研究会で、雲助師匠の「芝浜」を聴いた。
うちの連れ合いは、「芝浜」という噺が嫌いだ。
夢ですべてを片付けようとするにはストーリーに無理があり、そもそも飲んだくれがそんなにすぐ改心するわけない。談志師匠は、改心なんかしていない、ただ、しばらく酒を断ってまじめにやってみたら儲かって商売が面白くなっただけだ、そう言っていたというのを、鯉昇師匠から聞いた。だから改心なんかしていないのに感動のエンディングは違和感だ、そう連れ合いは言う。そこは全てを飲み込んで聞かないとならないから、この噺は嫌い、なんだそうだ。

そんな気持ちで画面を見つめていると、芝浜のおかみさんが、八五郎を張り倒していた。なんだこのかみさん、すげーな。その構成に踏み切った雲助師匠の高座を思い浮かべながらの高座は、五街道雲助ワールド全開の高座となった。

10/31(日) 14:00開演 雲助たっぷり
「加賀の千代」こはく  「お見立て」雲助
「ずっこけ」こはく   「火事息子」雲助

独特の間と表情で、お客様の視線をくぎ付け。古典を変にいじることなく、それでいて個性の塊。特に火事息子では、子を思う親の心を随所に匂わせながら、母親をコミカルに演じることによって単なるお涙頂戴にはしない。
「落語なんてそんな、教育的なもんじゃねーんだ」そんな声が聞こえてきそうなそんな高座に、酔いしれたのは一週間前。一週間たってもまだ覚えている、あの心地よさ。

五街道雲助。今度の独演会は5月22日。まだあの心地よさを、舞台袖で体感できる。
楽しみは半年後までとっておこう。

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一朝一門の秘密兵器、いよいよ名古屋で始動。

今や落語界で人気の若手と言えば春風亭一之輔師匠。彼を輩出した一門、一朝一門には個性的な弟子が多数存在しています。その中でも近年、その存在感を一気に押し上げているのが10番目の最後の弟子、春風亭朝枝さんです。どこか歌舞伎役者をほうふつさせるルックスと、そのパワフルな高座で若手の注目株となっている彼が、2月27日に大須演芸場に総帥一朝師匠と二人会の形でやってきます。2015年入門、2016年前座、そして昨年二つ目昇進。MUGEプランニングの公演では一朝一之輔の前座「朝七」として二回岐阜にお越しになっていますがその時から落ち着いた口調で、将来の大器の予感を漂わせていたのを覚えています。

すでに名古屋西文化小劇場企画の若手の会に抜擢されて会を行なっている、それだけで期待のほどがうかがい知れます。また6月には名古屋で初の独演会も企画しました。

一朝師匠との親子会、この原石は見ておいて損はありません。2.27、お越しを心よりお待ちいたしております。

令和4年 2月27日(日)14:00 名古屋 大須演芸場
「一朝 朝枝師弟共演」全席指定 1階¥3500 2階¥3300
出演 春風亭一朝 春風亭朝枝 各2席
チケット専用 メール mugeplan29@au.com
チケット専用ダイヤル 09041533562

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