MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

「様子がいい」師匠のためにある言葉~6/11五街道雲助独演会

落語界の歴史の中で、非常に重要なポジションを占めている「古今亭」。
昭和の落語界にその名を燦然と輝かせた志ん生志ん朝金原亭馬生門下をはじめ数多くの噺家を輩出、そしてその古今亭の現在の最高峰と言えるのが五街道雲助師匠であることに異論がある方はいないと思います。でも当人はいたって自然体。協会役員のようなポストにつき、重鎮と呼ばれることを何より嫌い、あの時代の噺家さんで真っ先にHPを立ち上げるほどのパソコン通。服装もおしゃれで、立ち居振る舞いもダンディー、それなのに高座では江戸の風を吹かしまくる、正真正銘の江戸っ子。

今回の2席もいらっしゃったお客様の脳みそを溶かしまくるほどの高座。
「妾馬」は、八五郎が殿様に士分に取り立ててもらって長屋に凱旋するくだりまでを描く超ロングバージョンのもの、ここまで聴いたことはないと感激するお客様続出。

トリの「お初徳兵衛」は船徳の別バージョン、若旦那に恋い焦がれた芸妓の心根を演じた色気たっぷりの高座で、この2席を名古屋で演じて下さったことにソデで私自身が胸を熱くしてしまうほど。落語の基本を崩さず、しかも師匠にしか出せない味はきちんと出ている、今年上半期でベスト1に推したい会になったと思う。

「今日来たお客さんは幸せだ」帰り際、連れの方にぼそっとつぶやいた男性の言葉が、いつまでも胸の中を駆け巡っていた私でありました‥。

「道灌」ぼんぼり
「妾馬」「お初徳兵衛」雲助