MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

円丈チルドレンの意地が、名古屋で爆発。~瀧川鯉朝独演会

コロナの蔓延防止期間が延長になり、外出を控えたい空気がまだ残り、冬将軍が最後の抵抗を見せた3月の日曜日。大須演芸場では柳家さん花真打昇進披露公演が行われ、さん喬師匠、彦いち師匠の豪華メンバーが集う。そんな悪条件が重なり、夕方4時半からの公演は当日を迎えるまでお客様の動きは鈍いままでした。

でも、必死の声掛けに応えて下さった方が当日お見えになり、少ないながらも目も耳も肥えたプロのお客様がそろい、鯉朝師匠の眼が生き返っての3席は、「予想以上の面白さ」とお客様が絶賛する公演となりました。

「お客様に日が暮れる前に帰っていただくように1時間半くらいで」と言いながらスタートした独演会は、鯉朝師匠の全てのエキスが詰まった、濃厚な、それでいてファンタジーな二時間となったのです。

「やかん」鯉朝
「ペコとマリアとゆかいな仲間」鯉朝
~中入り~ 「子はかすがい」鯉朝

13:00から同じ会場で独演会を開催していた上方の新作派でもある桂文鹿師匠が、二階の音響室で身を乗り出して聞いていた「子はかすがい」は、特に鯉朝師匠のオリジナルのストーリーがそこかしこにちりばめられ、思わず泣きましたと文鹿師匠がツイート。
そこには、長らく落語協会の後塵を拝してきた芸協の暗い時代と、若手の活躍で一気にそれを払拭する人気となった今と、両方を経験した瀧川鯉朝という噺家の自由でシュールな落語がありました。

噺家さんにはそれぞれ匂いというものがあると思います。
鯉朝師匠の新作からは、喬太郎師匠が二つ目時代に匂わせた甘酸っぱい青春時代がよみがえるあの切ない雰囲気をビリビリ感じます。考えてみれば、喬太郎師匠も鯉朝師匠も円丈チルドレン。やっぱり新作のカリスマの弟子として思うに任せぬ恋であったり、夫婦の微妙なすれ違いだったり、一度は中年層が経験したことのある挫折だったり、何本も刀を懐に忍ばせているのです。

その刀を抜く機会がめっきり減って、無難に噺家生活をまとめようとしていたとしたなら、鯉朝師匠、それは許しません。

これからも懐から刀を抜いて名古屋のお客様に突き付けて下さい。
そのすべての刀がさび付くまで、MUGEプランニングはお付き合いさせて頂こうと考えています。次は10月2日日曜日の13:30。楽しみは次の会に。次回はいよいよ例の、毛皮の話をして頂きます。(笑い)

f:id:mugeplan29:20220307153440j:plain