MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

信頼と実績の「扇々喬々」~4/18 大須演芸場

名古屋には、本当に数多くの落語会があります。
名古屋市文化振興事業団の栄のアートピアホールのほか市内15ヶ所の文化小劇場で行う公演、新聞社主催の事業として行う公演、カルチャーセンターでの公演、イベント業者の公演、そこに我々のような小さな主催者がぽつぽつ。日曜日ともなればいくつもの公演が重なり合い、お客様はそこからチョイスしていく現状、特にコロナが収まってからはその数は増加の一途。

そしてこれは、中央の名の知れた席亭と意見が合うのですが、お呼びする落語家さんはほとんどが一緒。約60人ぐらいの方があっちこっちを回っているだけ。日本全国、その傾向はほぼ同じと聞きます。

だから、同じ演者さんをお呼びしても、その公演が単に「人を集めて落語を聴いていただく」だけの公演の場合、ネタが同じになったりすることがままあります。
その落語家さんが間違いなく笑いを取る自信があるネタが5つあるとしたら、そのネタで回る。場所が違えば同じネタをかけることは珍しい事ではありません。東京で試験的に行なうネタおろしの会でかけたネタは呼ばれた先の会ではまずやりません。未完成のネタは地方ではかけない、それはどの落語家さんでも同じことです。

だとすれば、そういうネタが聴けるのはどういうところなのか。
最近で「ネタおろし」の会を「そういう会だ」と宣言して行っているのは玉川太福・春風亭昇々・瀧川鯉八・立川吉笑の4人のユニット「ソーゾーシー」でしょうか。
ですが当たり前の話、そこには限りなく「スベる」リスクは存在しています。
でもお客様がそういうものだ、と認識したうえで聴いているのであればこそ成立しているのです。落語が「ナマモノ」であるというのはそういうことで、落語会としての平均以上を求めるのであればほかに安心できるネタがそろう会はいくらでもあります。

翻って、扇々喬々。扇辰師匠も喬太郎師匠も、もう長いお付き合い。
私の主催する会の客層は、100%把握なさっている。
まして気心知れた同期の二人が2席ずつとなれば、お互いの長所も短所もわかっている。前にも話したかもしれないですが、二人会・三人会というのはペアリングが命。
スイングしない組み合わせは、1+1が2にならないのです。

「狸札」辰ぢろ
粗忽長屋喬太郎
「人情匙加減」扇辰~中入り~
「蕎麦の隠居」扇辰
「当世女甚五郎」喬太郎

喬太郎師匠はまず、柳家の十八番ともいえる粗忽長屋を入れごと無しできわめて本寸法に。星の数ほど回数を聞いているこの噺、なぜか喬太郎師匠が演ると抜群に面白い。
それを受けて扇辰師匠、アメリカ公演のマクラを長めにふっての「人情匙加減」。
中入りをはさみ、珍品の蕎麦の隠居にトリが新作キターーー!という、非の打ちどころのない構成。お客様の引き込まれている雰囲気がソデまでバリバリ伝わってきました。

・・・・市や新聞社、有名イベント会社の大きい公演にはないものがここに。そしてこの路線こそ、MUGEプランニングの生きる道

MUGEプランニングの二人会の中でも1.2を争う名コンビが、改めてそう思わせて下さった。扇々喬々6、熟練の4席、ご来場ありがとうございました