MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

【『なじみ』になって下さった師匠】~雲助たっぷり・五街道雲助独演会

「吉原では、初めての客を初会 と言って、遊女は会うだけ。
次に同じ遊女を指名することは裏を返す といい、三度目に行ってようやく なじみ となります。この独演会も今回が三回目でようやく なじみ となりました。
これでお客様との縁もつながったのでこれからはずっとこの会にお通い下さい」

雲助師匠がまくらでそう語ってくださいました。
聞いていたお客様は、「ああ、自分たちに向かって言って下さったのだな」と感じられたでしょうが、実はそうではありませんでした。

昨年10月に初めて企画したこの会は、二つ目のこはくさんと二席ずつ。
今年5月の二回目は前座さんの後、中入りをはさんで二席だったので今回も、前座の駒平さんの後 二席のつもりでネタ出し「品川心中」と「つづら」をお願いしていました。

「あのね、今回は最初に軽い噺を挟んでから、そのまま品川心中やりますから」

ごあいさつの後、雲助師匠のほうからそう切り出して下さいました。たぶん、いきなり品川心中ではお客様が入りにくいから…なんだろうとその時は軽く考えていました。
でも、高座に上がられて冒頭のマクラを話された時、本寸法の落語をたっぷり演じることができる場所、席亭だと三度目にして認められたからこそ、そうおっしゃられたのだ、そう確信したのです。

「元犬」駒平
「身投げ屋」雲助
「品川心中」雲助 ~中入り~
「つづら」雲助

実際、この日の雲助師匠の高座には「魂」がこもっていました。
「身投げ屋」で軽く笑いをとり、品川心中はきっちりとラストまで、そして「つづら」では貧乏夫婦の哀しみが色濃く描かれ、改めて師匠の凄さを感じた日でした。
次回は6/11、少し間は空きますが、またあの名人芸を楽しみにお待ちください。