MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

「きく麿の柔、鯉八の軟」~7/11 大須「きく麿鯉八兄弟?会」雑感

日曜日は大須、きく麿鯉八兄弟?会。
前日の骨太感とは裏腹な、ふわふわした新作の競演を予想していた二人会が、まさかこんな濃いものになるとは想像もしていませんでした、
お二人が会場入りしてまず、オープニング「顔が似ているトーク」をしていただけないかとお願いしたところ快諾して頂き、お互いが間違えられたエピソードを披露。

そこで、作った作品をどうするか、の話題になった時に、きく麿師匠は「手直しして何とかウケるように持っていく」鯉八師匠は「ウケをとれなかったものはすぐに握りつぶしてお蔵入り」お二人の答えが正反対となったことがとても興味深かったです。

そしていよいよ本番へ、最初にきく麿師匠が登場、師匠は瞬時に会場の雰囲気を読み、鯉八師匠のお客様が多いと判断して、アウェーを感じたと言います。でも、そこで万人にウケる鉄板ネタで笑いをとるほうに走らず、あえて少しお客様に考えさせるネタ「守護霊」にチャレンジ。それを受けて、鯉八師匠がご自分のキャラを「悪」の方向に向けるマクラでお客様を驚かせてから、壮大な空想ネタで「いまじん」へ。この時点でお互いが静かに張り合っている雰囲気を感じました。

中入りを挟み、今度は先ほどの毒舌から一転、鯉八師匠が仲間や師弟の絆をマクラに降って雰囲気を変えると、トリのきく麿師匠が人情噺仕立ての新作を。中には涙を流して聞き入る人も。ふわふわと、何も考えなくても聞ける会だと思っていたのに、見事に二人に裏切られ、また二人の芸の底の深さにしてやられた二時間でした。

落語に級があるとするならば、この日は間違いなく上級コース。
緻密に張り巡らされた下げまでの撒き餌に気づかないと、おいて行かれるようなそんな濃くてコアな公演でした。

結論。

ただ、笑って終わらせるだけじゃない、新作落語にもこんな、人間模様を細かく描ける噺があるんだということを再認識した、セブンイレブン、いい気分の一日でした。

「オープニングトーク
「雑俳」菊一
「守護霊」きく麿  「いまじん」鯉八
「最後の夏」鯉八  「何が面白いの?」きく麿

次回は、7/17日曜日に予定しています。来年もやるよ!兄弟みたいな会。

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