MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

地方からの、逆襲~6/12らくご源獅人雑感

名古屋駅から東へ1km、高速道路沿いの一区画に位置する昔ながらの古民家。
そこを改造した小さな演劇スペース「円頓寺レピリエ」は、これからの落語界の中心に立とうという若者が日夜しのぎを削り、その情熱に触発された若年層のファンが詰めかける注目スポット。土曜日、そこでは二人の若者が自分の個性をぶつけ合い、闘っていました。

ひとりは上方の注目株 桂源太。学生時代全国規模のタイトルをわずか入部二年目でかっさらい、プロになってからも上方らくご男子という落語家ユニットのセンターに抜擢されているいわばエリート。この日も落語ファンならいやというほど聞いてきた「延陽伯」(たらちね)と「転失気」という前座ネタを彼なりにアレンジし、爆笑をさらっていました。

一方、鉄道マンからなんと名古屋の雷門改め登龍亭獅篭さんのもとに弟子入りし、前座仲間の全く存在しない中で研鑽を積み、独自の視点の改作落語で源太を迎え撃ったのは登龍亭獅鉃。彼は学生時代は落研でありながらタイトルとは無縁、演劇の世界のエキスを吸いながらのし上がってきたいわば雑草。「蚊の~姉妹」「道クィーン」という新作と改作のいままでと全く違う形の落語が彼の口から生まれ出る。

たかが若手と侮るなかれ。

この日の高座を見て聴いた方々の満足度は、今江戸と上方の若手を聞いて味わう満足度以上のものだったと現場で確信するほどのクオリティー、ゲストとして参加した江戸の真打さんも舌を巻いていました。

東海の落語の灯は消えない。そう確信した、名古屋下克上の日でした。

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