MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

【23年の時を経て、ビッグになって帰ってきた。】

4/11、一之輔師匠は長野県千曲市、上山田文化会館で独演会でした。
いつもの会場、長野・北野文芸座が昨年コロナ対策50%でしか使えなかった流れで、今年もしもまた感染が広がったら会の中止につながるという懸念から、50%で最初から行うことのできる場所、として白羽の矢が立ったのがこの会場でした。そして、この会場に決まった時に私が真っ先に思いだしたこと、それは一之輔師匠にとって、ここは特別な会場だった、ということでした。

この会場は、地元の落語愛好家の皆さんが主催する「ざぶとん寄席」の会場で、舞台の上で座布団持参で座って鑑賞する、地元では有名な会。一之輔師匠はこの会の前座として入門三年目に出演しています。

それで懐かしいのか・・・?いえいえ、驚くなかれ、1998年と1999年、今から23年前に3年間だけ行われた「戸倉上山田温泉座」主催の学生落語大会に落研時代に参加、予選で「猫と金魚」を演じて見事決勝進出し、この会場で決勝を戦っていました。
その時の審査委員長は、立川談志家元。こちらのざぶとん寄席に噺家さんをブッキングしている方が元談志師匠の運転手だったという関係で実現したということなのですが、学生の大会を談志家元が審査、さらにその審査された学生が23年後、400人のお客様を集めてこの舞台に再び戻ってきて独演会をやるなんて、いったい誰が想像したことでしょう。

もちろん師匠は覚えていて、その時のかすかな記憶をたどりながら、宿泊した旅館の前や町並みなどを散策してきたそうです。思い出の地、落語家としての出発の地・・・それがここ、上山田だったのです。

以前は談志家元をお呼びして大会を開催するほどだった上山田も、時代とともに活気がなくなっていく。そんなもの悲しさを目の当たりにしてきたこの会館もすっかりおじいちゃんになったけど、あの時の学生が、こんなにビッグになって帰ってきたことを、さぞかし喜んでいるでしょう。ちょうど孫が一旗揚げて、田舎に帰ってきたみたいな気分で。孫の凱旋を祝福するかのごとく、抜けるような青空が広がっていました。

「町内の若い衆」一刀
「堀の内」「人形買い」「心眼」一之輔

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