MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

主催として、なすべきこと~名古屋らくご兼宮会

一年前の4/18にコロナの影響で中止になった兼宮会は、前回の10/25とこの日ののどちらかに振替の形をとって延期になっていました。その一年の間に、宮治さんは記者発表し、単独の真打昇進が決まりました。はからずもMUGEプランニングで3/20で首都圏の寄席の披露目が終わったわずか一週間後のスケジュールを押さえていたのでまだ昇進ほかほかの状態での名古屋への凱旋、当日はお祝いムードで盛り上がるだろうなあ、と思っていました。

宮治師匠にお願いをして幟を持参頂き、正面に掲げる手はずは整っていたのですが残念なことに当日は土砂降り。それでも満員のお客様の中、オープニングトークから源太君を含めて5席、寄席でも地方でもおなじみのネタなのにもかかわらず、それぞれの個性がふんだんに表れた、素晴らしい公演となりました。

大盛況だった公演の裏で、ひとつだけ残念だったこと。それは受付を通さず、直接楽屋を訪ねて行ったお客様がいらっしゃったことです。

お客様から「宮治さんにサインをもらってきてほしい」とお願いされ、色紙を持って楽屋口に回るとそこに、ご夫婦と思われるお客様が楽屋口の前で兼好師匠とお話をしていました。そのお客様は兼好師匠にご祝儀を渡され、宮治師匠もそこに呼ばれて同じようにご祝儀を。そのあと受付周辺のスタッフ全員に確認をしましたが、誰も楽屋にご案内はしていないとのことなので、そのお客様はストレートに楽屋を訪ねて行ったようでした。

このコロナ禍の中、100%の収容で公演を開催することはとても勇気のいることです。
万が一でも感染者が出てはいけないと思い、お客様に面倒な消毒や検温を強いて、もぎりもご自分でして頂きパンフレットもご持参いただき、マスクの着用をお願いすると同時に芸人さんとの接触はご遠慮頂いていました。

ほとんどのお客さまは宮治師匠に直接お会いしての真打を祝福したい、また兼好師匠に差し入れをしたい、そんな気持ちを押さえて受付に差し入れ、ご祝儀のお渡しを頼んできています。その皆様の我慢がコロナ禍での公演を成り立たせているのです。私はその場で、お話している間に割って入って「面会は禁止です」と言おうか迷いましたが、すでにお話をしているあの状況でそれをすることは至難の業、でも主催者の立場としてほかのお客様の我慢が無になる行動は止めなければならない・・・自問自答しているうちに時は流れ、そのお客さまは帰られました。

オープニングで宮治師匠が、「面会禁止とか主催者が言っているけど楽屋はフリーパス」と冗談めかしておっしゃったことの真相はそういうことでした。

この場を借りてあの時の方に申し上げます。楽屋を訪ねる際は、かならず受付を通して下さい。いきなり訪問されたら、芸人さんは断ることができないのです。

もし、コロナ感染が判明したら、責任は全て主催者にきます。だから我々は、少しでもその可能性は排除しなければなりません。その意味であの場面では、心を鬼にしてでも割って入らなければならなかったのだろうか。改めて主催としてなすべきことを考えてしまった公演となりました。