MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

円楽師匠とのこと(3)

実家を離れ岐阜で、落語プロデュースの仕事を本格的に始めるようになったのは2005年から。そうは言ってもいきなり大物をお呼びすることなど夢のまた夢。こつこつ、こつこつ。積み上げてきた公演数は優に100を超えたであろう9年後、2014年2月23日、各務原市文化ホールでの会に楽太郎師匠いや、もう6代目円楽になっていた師匠をお呼びすることができた。

「親不孝・・・じゃなくてばちあたりか、とうとうこんな浮き草家業に足を踏み入れやがって」

笑いながら茶化す師匠はあの時のままだった。聞けばぜんそくがひどく体調も悪そうで、心配していたのですが満員のお客様の前で、「ねずみ」を45分の大熱演。緞帳が閉まったあとも立ち上がれず、若手に支えられながらさがって来た師匠が、ソデで頭を下げる私に向かってにやっと笑った。
「お前の見ている前でヘタ打てねえからな」私には師匠が、そういっているような気がしてならなかった。帰りの車に乗り込む前、「今度また、近いうちにお呼びできれば」そう声をかけると師匠は言った。
「期待しないで待ってるからな」
師匠。きちんと事務所を通して適正なギャラで定期的にお呼びできるようになりました。これからは仕事の相手として認識してくださいね。私は心の中でそう言った。言ったはずなのに、再度師匠をお呼びするまでに、また6年もかかってしまったのでした。(つづく)

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