かつてのやんちゃな弟子の前で、こんなににこやかな文治師匠が見れた・・・・。
今はそれだけで、この会を実現した価値があったと思います。
今から15年前、真打になって約5年、30代後半だった桂平治師匠のもとに、兄弟子である五代目痴楽師匠の息子ち太郎くんが16歳の若さで入門した時のいきさつを多少なりとも知る私は、少し前までこの二人の会を行なうことに躊躇っていました。
でも、その後二つ目時代に、何回も文治師匠が小痴楽さんに稽古をつけているんだという話が耳に入ってくると、日本中のどこでもほとんどこの二人会が行われていないことも不思議に思い、逆にこの会を名古屋で…と思うようになりました。そして迎えた8月22日、かつての師弟がお互いをライバルとして認め合い、競い合う場となったこの日の大須演芸場。
最初はオープニングでトークをお願いし、その時代のエピソードを語っていただこうと思ったりもしたけれど、それがお二人の望むことでないかもしれない。いろいろ気をもんだ会だったのだけれど、ふたを開けてみればお二人それぞれが、その頃の思い出を懐かしそうにマクラで語っていて、あの三年間があったからこそ、今があるんだと嬉しくなってしまいました。
楽屋からはずっと二人の話し声が、笑い声が聞こえる。カメラを向ければ、顔がくしゃくしゃになるほど笑っている文治師匠を取り囲んだ新旧三人の弟子。コロナの中この一瞬を楽しんでくださった、お客様方にも感謝、感謝、感謝。
来年もまた、文治師匠はさらに成長した姿に顔をほころばせるに違いない、とてもいい会となりました。
「饅頭怖い」 空治
「のめる」 小痴楽
「ラーメン屋」 文治 ~中入り~
「平林」 文治
「暁烏」 小痴楽