MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

2021年度(令和3年度)の公演の終着駅は「鉄道落語会」。

愛知環状鉄道の社員だった稲垣君が、名古屋の獅篭一門に弟子入りした時から、いつか開催しようと思っていた鉄道落語会。ただ、東海地区にどれだけ鉄道ファンがいたとしても、その方々が大須演芸場に足を運んで下さるのか、逆にふだんムゲプラ公演に来ていただく方が鉄道にここまで特化した落語会を許容して下さるのか、いろいろ心配をしていましたが、当日券も含め約80人のお客様がお越し下さり、とても賑やかな会となりました。

「ご挨拶トーク」全員
「鉄道勇助」小梅
「運転士になる!」獅鉃
「鉄道スライドトーク」全員
「若旦那とわいらとエクスプレス」しん吉
エスエル」梅團治

とにかく、初めから終わりまで舞台上と客席の熱量が凄く、まさにお互いがキャッチボールをしているかのような情景が広がりました。特に、獅鉃くんが当日の朝8時に名鉄バスセンターへ行って購入してきた令和4年3月21日記念の切符「4321」(ナンバープレートを模したもの)を出演者にプレゼントしたシーンで、客席から何人も「買ったよ!」と声が上がったりとか、まさにここはてっちゃんの空間だ、と改めて感じました。(名鉄の駅を当てはめた記念切符、四軒家、三柿野、二ツ杁一ツ木
次回は来年3月、今度は関東の鉄道落語家をお呼びして第2回を行なう予定です。

この日でMUGEプランニングの今年度の公演は終了。
新年度一発目の主催公演は、4.18扇々喬々からはじまります。
来年もまた、よろしくお願い致します!

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兼好宮治、これぞ最強タッグ。

始めて宮治師匠をお呼びしたのは、彼が二つ目になりNHK若手落語家選手権をとったばかりの頃でした。長野、松本、岐阜、柏崎、ほんとうにいろんな会にお呼びし、すべての場所で彼は期待に応えてくれました。将来を期待される若手だとはもちろん認識していましたが、まさか笑点メンバーになるなんて、想像もしていませんでした。

3月13日、笑点メンバーになってから初めてのお仕事、そして大須
超満員のお客様の祝福ムードの中、兼好師匠の愛のあるマクラ、それを受けての宮治師匠の手水廻しの熱演。トリは変に人情噺などに走らないで、きめ細かな演出を差し込んだ、兼好師匠にしかできない厩火事。よく知っている誰しもが演じるネタが、お二人にかかると大爆笑ネタに。会場の盛り上がりは、今年一番となりました。

「孝行糖」南之助
「だくだく」兼好
「手水廻し」宮治~中入り~
「強情灸」宮治
厩火事」兼好

宮治師匠のこの日の女子マラソンのマクラで再認識したことがあります。
彼は、これ以上踏み込むとひかれる、という寸前のところで毒を吐くのを止めることができる天才です。一線を超えないよう、精密機械のようにぎりぎりを攻める。
その押し引きが秀逸です。だから、ライブでは無類の強さを発揮します。逆に兼好師匠は、そうとう過激に毒を飛ばしてもしぐさと口調でその毒が中和されるという、こちらも天才的なものを持っています。

そんなタイプが違う二人だからこそ、この二人会は大人気だったのです。

次回は、まだ決まっていません。
決めるには、いろいろなハードルがあります。
テレビの国に旅立った宮治師匠がまた、こっちに帰ってきてくれるよう全力を尽くしたうえで、運を天に・・・任せることにします。

ご来場、ありがとうございました!

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「初夏の大須演芸場 東西個性派対決その弐」~松喬&扇辰2人会

46年前の6月26日は日本武道館で世紀のスーパーファイトと謳われた、アントニオ猪木vsモハメッド・アリ戦が行われた日です。プロレスラーが現役の世界チャンピオンと戦うなんて、後にも先にもこの時だけ。しかもお互いの看板を背負っているガチンコ勝負のため、その緊張感は半端ではありませんでした。

そして46年後の6月26日は、東西の落語界で誰しもが認める二人が、昨年に引き続いてのガチンコ勝負を繰り広げます。落語がブームと呼ばれるようになってから、大都市圏のお客様のニーズは明らかに変わりました。今までの笑点メンバーか、テレビで有名な方。ブラウン管の向こうで活躍していらっしゃる噺家さんの落語を聴く時代から、時は令和、情報の多い世の中にふさわしく、実力者にはいつも声がかかります。その東西の実力者が集う、MUGEプランニング得意の二人会。

扇辰が猪木で、松喬がアリか。
松喬がアントニオで、扇辰がモハメッドか。
昨年のトリは松喬師匠の三十石。今年のトリは扇辰師匠。
6月26日、二度目の対決、魂のゴングが鳴り響きます。

令和4年 6月26日(日)14:00(13:30開場)
笑福亭松喬・入船亭扇辰 二人会
名古屋市中区・大須演芸場

出演 入船亭扇辰(2席)笑福亭松喬(2席)前座 笑福亭喬路
木戸銭 1階席 ¥3500  2階席 ¥3000

メールアドレス mugeplan29@au.com(メールは24時間対応)

専用電話   09041533562 (電話は10:00~20:00)

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「初夏の大須演芸場 東西個性派対決その壱」~由瓶&兼好2人会

去年6月平日の夜に実現した由瓶&兼好二人会、今年は日曜日の午後開催となります。
上方で爆笑王の称号をほしいままにしている笑福亭由瓶師匠、実は兼好師匠とは旧知の中で、大阪に兼好師匠がいらした時に由瓶師匠宅に宿泊したことも。
昨年のアンケートに、ぜひ来年もとリクエストを多くいただいたこの公演、MUGEプランニングが日頃より皆様に提供する「二人会」の形でたっぷり二席ずつの公演です。

当日も名古屋ではいくつか会が重なっているとは思いますが、演者の息遣いが聞こえる寄席小屋での二人会はホール落語とは違うたたずまいがあり、お客様には必ず楽しんでいただけると自負しております。

由瓶師匠の速射砲のように繰り出されるさわやかな?愚痴、にやりと笑って毒を吐く兼好ワールドの切れ味。手作りの寄席の魅力を必ずや体感して頂けるものと思います。
どうぞ6.19は大須演芸場にお運び頂きますよう、心よりお願い申し上げます。

令和4年 6月19日(日)14:00開演(13:30開場)
東西個性派対決その壱~由瓶・兼好二人会
名古屋市中区・大須演芸場
出演 笑福亭由瓶(2席)三遊亭兼好(2席)前座 桂源太
木戸銭 1階席 ¥3500  2階席 ¥3000
チケット発売  3/14(月)より

※なお、3.13兼好・宮治にお越しの方には、会場にて先行販売をします

メールアドレス mugeplan29@au.com(メールは24時間対応)

専用電話   09041533562 (電話は10:00~20:00)

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円丈チルドレンの意地が、名古屋で爆発。~瀧川鯉朝独演会

コロナの蔓延防止期間が延長になり、外出を控えたい空気がまだ残り、冬将軍が最後の抵抗を見せた3月の日曜日。大須演芸場では柳家さん花真打昇進披露公演が行われ、さん喬師匠、彦いち師匠の豪華メンバーが集う。そんな悪条件が重なり、夕方4時半からの公演は当日を迎えるまでお客様の動きは鈍いままでした。

でも、必死の声掛けに応えて下さった方が当日お見えになり、少ないながらも目も耳も肥えたプロのお客様がそろい、鯉朝師匠の眼が生き返っての3席は、「予想以上の面白さ」とお客様が絶賛する公演となりました。

「お客様に日が暮れる前に帰っていただくように1時間半くらいで」と言いながらスタートした独演会は、鯉朝師匠の全てのエキスが詰まった、濃厚な、それでいてファンタジーな二時間となったのです。

「やかん」鯉朝
「ペコとマリアとゆかいな仲間」鯉朝
~中入り~ 「子はかすがい」鯉朝

13:00から同じ会場で独演会を開催していた上方の新作派でもある桂文鹿師匠が、二階の音響室で身を乗り出して聞いていた「子はかすがい」は、特に鯉朝師匠のオリジナルのストーリーがそこかしこにちりばめられ、思わず泣きましたと文鹿師匠がツイート。
そこには、長らく落語協会の後塵を拝してきた芸協の暗い時代と、若手の活躍で一気にそれを払拭する人気となった今と、両方を経験した瀧川鯉朝という噺家の自由でシュールな落語がありました。

噺家さんにはそれぞれ匂いというものがあると思います。
鯉朝師匠の新作からは、喬太郎師匠が二つ目時代に匂わせた甘酸っぱい青春時代がよみがえるあの切ない雰囲気をビリビリ感じます。考えてみれば、喬太郎師匠も鯉朝師匠も円丈チルドレン。やっぱり新作のカリスマの弟子として思うに任せぬ恋であったり、夫婦の微妙なすれ違いだったり、一度は中年層が経験したことのある挫折だったり、何本も刀を懐に忍ばせているのです。

その刀を抜く機会がめっきり減って、無難に噺家生活をまとめようとしていたとしたなら、鯉朝師匠、それは許しません。

これからも懐から刀を抜いて名古屋のお客様に突き付けて下さい。
そのすべての刀がさび付くまで、MUGEプランニングはお付き合いさせて頂こうと考えています。次は10月2日日曜日の13:30。楽しみは次の会に。次回はいよいよ例の、毛皮の話をして頂きます。(笑い)

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そこには間違いなく、「いっちょうけんめい」がいた。~2/27大須雑感

「このご時世、病気はありえることだが今回の代演は上か、悪くても同列の原則に合わない。不愉快。いい噺家さんとのネットワークがあるムゲプラさんなのに、そういう顔を連れてこれなかったのか。その努力不足を強く思う」

公演後に、こんなアンケートがありました。

おっしゃる通りです。お客様の立場からすれば、当然の思いです。一朝師匠もそうお感じになっていたと思うのです。だから電話口で「申し訳ございませんが今回の公演は中止に」とおっしゃっていたのです。

二週間前、一朝師匠がコロナ陽性になったと聞いて、気をもんでいました。さすがに決断しなければならないとお電話をさし上げた時、師匠の選択は「公演中止」でした。
「かしこまりました」師匠にそう伝えて電話を切ったあと、悩みました。

実はこのアンケートの方のおっしゃる通り、何名か上か同列の方に聞きました。しかし直前のことでしかも日曜日、一朝師匠の格に見合う方であいている方はいらっしゃいませんでした。

「中止にしようか」

そう思いが固まった時、別の思いがこみ上げてきました。この企画は、一朝師匠をお呼びすることはもちろんだけれど、その最後のお弟子さん、朝枝さんをみなさんに聞いていただきたいための師弟共演だったということを。

一朝師匠は、自分が来ないことでキャンセルが増え、迷惑がかかるといけないとの思いから、中止にしようとおっしゃったと思うけれど、こちらさえ腹をくくればいい話。
そう思った瞬間、私たちの中での結論が出ました。

「一朝師匠が代演の方にあとで気を使わなくてよくて」
「キャラ的に朝枝さんと芸風がかぶらなくて」
「今までお仕事関係などでお付き合いがある方」

「あの方に聞いてみよう、空いてなかったら中止ね」

そう考えてつないだ電話口の向こうで、彼はこうおっしゃいました。」

「私なんかでよろしいのでしたら、行かせて頂きます」

この瞬間に、<代演 春風亭三朝>はそんな経緯で決まりました。

最終的に一朝師匠に確認を取らなければいけないとお電話をさし上げた時、師匠に

「そうしていただければ、たいへんありがたいです」

とお言葉をいただきました。払い戻しも多かろうけれど、やるしかない。
私たちは、吹っ切れた気持ちで2/27を迎えたのでした。
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金明竹」 いっ休
「やかんなめ」三朝
「一分茶番」 朝枝 ~中入り~
真田小僧~通し」朝枝
愛宕山」 三朝
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一席目の三朝師匠がみなさんに、いつものセリフを言うと万雷の拍手。
「そういうことで私は一朝の弟子なので、今日は
いっちょうけんめいに やらせていただきます!」

実は、アンケートには続きがあります。

「小言は小言として、三朝は明るく、かつ一朝ばりの口跡、フラもあり、実力をのばしつつある。今日もその片鱗は十分見せていた。小三治とは違う「やかんなめ」はそれなりに楽しめた。また朝枝はの一分茶番は、鳴り物の名人一朝の弟子らしく、芝居をしっかりとふまえた一席だった。」

小言の後は、ほめて頂く。名古屋の耳の肥えたお客様の嘘偽りのない感想をかみしめて、私は眠りについたのでありました。

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「アキット あにさん」

2/13大須演芸場、ユメユメコラボ、何とか開催することができました。
このシリーズを継続する時にいちばん考えるのはコラボの内容とアキットの相方です。
特に会場が大須演芸場で、備え付けがある状況、古典落語も達者で落語家さんで太鼓の技術がしっかりしている方となれば、誰よりも適任は柳家小せん師匠。
学生時代は吹奏楽部、その美声は落語界で間違いなく三本の指に入るほど、そして昭和歌謡落語「ガーコン」の現代の唯一の使い手。自信をもってお送りしたプログラム。

アキットは自分の太鼓の出来に不満足だったようですが、大太鼓でそのアキットを補佐して形に持っていって、お客様の拍手を頂けたのは小せん師匠の腕があってこそ。
それでも偉ぶることなく、ツイッターではこの日の感想をこのように述べていらっしゃいました。

アキット兄さんのお客様は楽しみ上手。
あたたかく迎えていただき、感謝の限りです。

「アキット あにさん」。

自分のほうが一回りも年上で、落語家になって25年も経つから、小せん師匠のほうがあにさんじゃないのか、と普通は考えます。でも師匠はアキットのプロフィールを見て、4歳からマジックをやっていると認識し、舞台での年数は自分より先輩という判断をしました。加えて、アキットの舞台裏での仕込みの凄さにいたく感心されていました。

「自分はぱっときて、すっと落語をやって帰るだけ。それに比べてアキットあにさんは、自分の世界をお客様に理解していただくのにどれだけご苦労をなさっているのかとただただ、凄いなあと思いました」

小せん師匠、ありがとうございました。
アキットファンは、師匠の昭和歌謡落語に、度肝を抜かれていらっしゃいましたよ。

「酒の粕」篭二 「やかん」小せん
「不思議ステージ」アキット
「夢コラボ」アキット&小せん
「ガーコン」小せん

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