MUGEプランニングのたまさかブログ

東海・中部地区で落語公演を開催しているオフィスのブログ

【2021 MUGEプランニング公演予定】

今年もMUGEプランニングの公演をご利用いただきありがとうございます。
6/23現在の年間決定公演は以下の通りです。

◎主催公演
※6/29(火)18:45  三遊亭兼好 笑福亭由瓶二人会 (大須演芸場
※7/10(土)14:00  玉川太福独演會 (岐阜市文化センター和室)
※7/11(日)14:00 林家きく麿 瀧川鯉八二人会 (大須演芸場
※7/22(木祝)14:00 笑福亭松喬 入船亭扇辰二人会 (大須演芸場
※8/8(日)14:00  ヤバすぎ新作4 桂文鹿 古今亭今輔 (グランヴェール岐山)
※8/29(日)14:00 桂文治 柳亭小痴楽二人会 (大須演芸場
※9/19(日)13:30 小辰を熱くする会 小辰 鈴々舎馬るこ大須演芸場
※9/19(日)17:00 上方落語 革命戦士の会 桂春蝶 桂文鹿大須演芸場
※10/9(日 14:00 坂本頼光&魔法使いアキット ユメユメコラボ(グランヴェール岐山)
※10/20(水)18:45ショーリショー3 神田松鯉 瀧川鯉昇大須演芸場
※10/31(日)14:00 五街道雲助の会 雲助ほか (大須演芸場
※11/8(月) 18:45 扇々喬々 入船亭扇辰 柳家喬太郎大須演芸場
※11/28(日)14:00 オースのジョー10 古今亭菊之丞 のだゆき (大須演芸場
※12/19(日)東西若手競演 登龍亭獅鉄 桂源太 柳家あお馬 古今亭今いち(円頓寺レピリエ)時間未定

◎協力公演
★7/18 (日14:00登龍亭獅鉄 古典勉強会 講師 橘ノ圓満 (岐阜市文化センター和室)
★8/9(月祝)14:00 名古屋で勝手に圓朝祭 奥山景布子の会(大須演芸場
★9/12(日)14:00 けふこの落語会 桂南天独演会 (大須演芸場

10/9以降の公演はまだ告知前ですのでチケット販売はしておりません。

 

新作の可能性を信じてくれた、お客様たち。

落語には、古典と新作があります。もちろん作られた時は全て新作で、長い年月を経て、時代背景が違ってきても、多少の手を加えつつも現在まで生き残ってきたものが「古典落語」と呼ばれているわけで、それだけよくできていて、笑いどころも多いわけです。

対して新作は、その時代に作られてもあっという間に旬を過ぎてしまうという、悲しい運命になります。喬太郎師匠が作った新作落語に登場する「ホテトル」も「公衆電話」も、「テレフォンカード」も「カセットテープ」も、もう今は見られなくなり、旬は過ぎ、その時代を生きた世代だけのノスタルジーに頼るしかなくなります。でも、その時代がわからなくともお客様の頭の中に入り込んでいく、素敵な新作もある。そのわずかに残る新作を生み出そうとしているのが新作派と呼ばれる人たちです。

東のきく麿、西の文鹿、中部の獅篭。情報の発信地東京でもあるまいし、名古屋でこの三人で六席のコラボは、コロナ禍の公演としては無謀極まりないものと初めから覚悟していて、それでもなおかつやりたかった公演、「ヤバすぎ新作3」、結果から言うと前売りの停滞に比べて当日券の伸びが凄く、併せてお客様の人数からすると考えられないほどの笑い声が響く、とても印象に残る公演となりました。

それぞれの個性がぶつかり合う、意地の張り合いも垣間見ました。
それでいて、三人がかりでお客様を新作ワールドに引き込む協調性もありました。
トリで文鹿師匠がおっしゃっていた、「当日までほかの二人が何をやるのかわからない」予定調和が成立しない落語会、その斬新さをお客様が心から楽しんでいるように感じました。ツイッターエゴサーチをしていて、その笑いがある意味、当然なんだろうなあと思える書き込みがありました。(引用失礼いたします)

朝まで出かけるかやめるか迷っていた。結果、不急ではあるが不要ではない、自分にとって(落語は)必要な事である。(以下略)

そういう気持ちでいらっしゃって下さっているお客様が、楽しくないわけがない。
逆に、その方たちに楽しんでいただけるに値する内容を、提供している自負がある。
昨日のヤバすぎ新作には、お客様に「同じ船に乗り込んできた仲間たち」的な連帯感を感じた。だからあんなに、笑ってくれた。

獅篭さんが高座で「こんな時期に三人も落語家を呼んで赤字、ヤバすぎじゃなくて赤すぎ新作」といじってくださったのは、逆にムゲプラに対するエール。かくして1/17は、私にとって忘れられない、記憶に残る会となったのであったのだった。

「やっぱり、続けたいね」帰りの車の中で、二人で誓い合ったこの日を、私は一生忘れない。ご来場誠に、ありがとうございました。

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【2021年 年間スケジュール】

【1月】

1/11(月祝)14:00 小せん・太福二人会 大須演芸場
全席指定 ¥3,300  柳家小せん 玉川太福 各2席

1/17(日)14:00 ヤバすぎ新作3 大須演芸場
全席指定 ¥3,300 林家きく麿 桂文鹿 登龍亭獅篭 各2席

【2月】
2/23(火祝)14:00 鯉昇・アキットユメユメコラボ 岐阜 グランヴェール岐山
全席指定 ¥3,800 瀧川鯉昇 魔法使いアキット
※アキット体調不良のためチケット販売停止中

2/25(木)18:045 扇々喬々3 大須演芸場 全席指定 ¥3,800 柳家喬太郎 入船亭扇辰 各2席

【3月】
3/14(日)13:00 松鯉・伯山師弟共演 愛知・一宮市民会館
全席指定 ¥4,000 神田松鯉 神田伯山 各2席

3/28(日)14:00 名古屋らくご兼宮会 大須演芸場
全席指定 ¥3,600 三遊亭兼好 桂宮治 各2席

【4月】

4/25(日)14:00 辰のオトシゴ~小辰を熱くする会 大須演芸場
全席指定 ¥3,000 入船亭小辰 蜃気楼龍玉~刺客その1)各2席

◎以上の公演はチケット発売中です。

4/11(日)13:30 春風亭一之輔上山田独演会 長野県千曲市・上山田文化会館 
全席指定 ¥4,000 2~3席

【5月】
5/16(日)14:00 オースのジョー9 大須演芸場
全席指定¥3,300 古今亭菊之丞 まめ菊 ゲスト坂本頼光活弁
※1月中旬 発売予定

5/29(土)14:00 桂宮治真打披露公演 長野市北野文芸座
全席指定 ¥3,800 桂宮治 桂伸治 桂文治 柳亭小痴楽 ※1月下旬 発売予定

5/30(日)13:30 第34回 松本あるぷす寄席 長野県松本市 まつもと市民芸術館小ホール
全席自由¥2,000 三遊亭兼好 神田あおい (各2席) ※3月中旬 発売予定

【6月】
6/6(日)14:00 郡上寄席FINAL 郡上八幡 三冨久
全席自由 ¥3,000 柳家小せん 三遊亭兼好 桂弥太郎
※発売日未定

6/12(土)14:00 源太と獅鉄の会~名古屋・円頓寺リピリエ
全席自由 ¥2,000(予定) 桂源太 登龍亭獅鉄 各2席
※発売日未定

6/13(日)14:00 一朝・鯉昇 大須夢共演 大須演芸場
全席指定 ¥3,800 春風亭一朝 瀧川鯉昇 各2席
※発売日未定

6/20(日)14:00 あお馬の恩返しⅤ~名古屋・円頓寺リピリエ
全席自由 ¥2,500 柳家あお馬 3席予定 
※発売日未定

【7月】
7/10(土)14:00 玉川太福独演會~岐阜市文化センター和室
全席自由 ¥3,000 玉川太福 新作&古典浪曲 曲師 玉川みね子

7/11(日)14:00 「きく麿 鯉八兄弟・・かい?」 大須演芸場
全席指定 ¥3,500 林家きく麿 瀧川鯉八 各2席
※発売日未定

7/22(木祝)14:00 「松喬 扇辰東西名人会」大須演芸場 全席指定 ¥3,500 笑福亭松喬 入船亭扇辰 各2席 ※発売日未定

【8月】
8/29(日)14:00 「文治 小痴楽 元師弟会」 大須演芸場
全席指定 ¥3,600 桂文治 柳亭小痴楽 各2席
※発売日未定


【9月】
9/19(日)14:00 「辰のオトシゴ~小辰を熱くする会」 大須演芸場
全席指定¥3,000 入船亭小辰 鈴々舎馬るこ(第2の刺客)各2席
※発売日未定

【10月】
10/20(水)14:00 「ショーリショー3」 大須演芸場
全席指定 ¥3,800  神田松鯉 瀧川鯉昇 各2席
※発売日未定

10/31(日)14:00 「五街道雲助独演会」大須演芸場
料金未定  出演 五街道雲助 桃月庵こはく
※発売日未定

【11月】
11/28(日)14:00 「オースのジョー10回記念」大須演芸場
全席指定¥3,300 古今亭菊之丞 まめ菊 ゲストのだゆき(音楽漫談)
※発売日未定

【協力公演】
3/21(日)14:00 「月亭遊方ラクゴギグ」岐阜市文化センター和室
全席自由¥2,500 月亭遊方(3席)

4/18(日)14:00 「花丸・小せん二人会」大須演芸場
全席指定¥3,500 林家花丸 柳家小せん 各2席 トークあり
※年明けすぐ発売

 

「また来年も」そうおっしゃって下さった人間国宝

今年最後の主催公演が終わった。
「ショーリショー2」78歳と67歳、大ベテランの二人会。
高齢者の師匠二人の会ということで、開催に特段の注意を払った二時間、終わってみれば、昭和の芸人魂をそこかしこに匂わせた、令和2年で確実にトップ3に入る公演だったと思う。

「子ほめ」 美馬
「餃子問答」鯉昇
赤穂義士伝~小山田庄左衛門」松鯉
水戸黄門記~雁風呂由来」松鯉
「芝浜」 鯉昇

お客様、一階は満員。100%を許していただいている大須演芸場のありがたさ。
二階は感染を気にする方のために自由席にしてフラットにしてあったのだけれど、移動する人はまばら。みな、食い入るようにして高座を見つめていた。
落語には大きな声で笑い、講談には一言も聞き漏らしてなるものか、とでも言いたくなるほどの緊張感、そして満足感。
「小山田はね、悪人なんですよ、悪い奴が主人公の義士伝なんだ。珍しいでしょ。」
終演後におっしゃった言葉を待つこともなく、庄左衛門とその息子に裏切られた父の悲しい物語を、松鯉先生は見事なまでに表現して下さり、その世界に浸ったままのお客様が最後に、「芝浜」でほっこりする。そのバランスがとにかく絶妙な、素晴らしい構成であった。

「あのね、談志師匠に言われたの。酒が好きで好きでたまらない魚勝が、急に改心するなんてそんなのおかしいと思わないのかって言われてね、目からうろこで、それから改心したんじゃなくて、飲み食いで借金できたのを返すために働き始めたら仕事が面白くなっちゃった、って設定にしたの。だから、魚勝は改心なんかしてないの」(笑い)

鯉昇師匠の芝浜を後ろの扉を開けて聞いていたスタッフが「なんて軽くて粋な芝浜なんでしょう!」と感激していた理由はまさに、改心なんかしていない魚勝のおかげだったのだと思う。

「あとね、ぼてふりがたかだか3年で表通りに店なんか出せるわけないの。だから僕は、表通りを変えて、新道(横丁の、私道)でやったの」

落語だって講談だって、少しずつその時代に合わせて、変化させて進化させていくものだ、長老の二人が口をそろえてそうおっしゃったのを聞いて、この二人の言葉が、客席の皆様に違和感なく溶け込んでゆく理由が分かったような気がした。

「来年もぜひ、続けていってほしいです」別れ際、松鯉師匠がはっきりとそうおっしゃって下さった、自分もやっていて楽しかった、ありがとう、とも。
もちろんお二人が健康でい続ける限り、ショーリショーは続けます。お任せ下さい。

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若手の会をやり続ける、その意味。

エンタメ業界を襲うコロナ禍は、落語の世界に多大な影響を及ぼしました。
人が集まることも、大声で笑うことも、感染防止の名のもとに「悪」のように言われています。つい数年前は、笑いはNK細胞が活発になり健康的であるとかなんとか宣っていたマスコミが、危険をあおっていくたびにコンサート、リサイタル、演芸、演劇界がやせ細っていっています。落語会でクラスターが発生した事案など全国どこにもないのに寄席に人は来ず、落語家を志して入門した若者たちはいま、生活の危機に立たされています。

今回岐阜・じゅうろくプラザで昼と夕方に開催する会は、全国的に名前を知られているわけではないけれど、実力ある次代を担う若手です。その若手も、ソーシャルディスタンスという壁に阻まれ、狭いところでの落語会を中止せざるを得ません。この状況が続けば、次の落語界をけん引する若手がどんどんこの世界からいなくなり、何十年か先の落語界が危機に瀕するのは自明の理です。

かっこいいことを言ってますが、若手の育成のために会を続けていくのは、落語のプロデュースで生業を立てている私たちの責務と考えています。そうは言ってもいらっしゃるお客様に拙いものをお聞かせしない、そう考えてのメンバーがじゅうろくプラザに集結いたします。

三人とも、落語ブームと言われた時代、岐阜で行われた学生落語大会のファイナリストたち。その後の人生それぞれに、順風満帆、波乱万丈の前座時代を過ごしてきました。
でも、みんなが仲良く食べていく、そんな甘っちょろい時代ではなくなっています。のし上がっていく気概のある者だけが、栄光をつかめる。学生時代の栄光なんて、「メシのタネ」にはならないのです。

今は自分の落語を確立し、売れることにまい進する時期。そんな三人を、次代の落語界を背負って立つであろう三人を聴きに来て下さい。今週の日曜日岐阜でお待ちします。


令和2年 12月13日(日)

13:00「あお馬の恩返しⅣ」~柳家あお馬独演会
出演 柳家あお馬(小せん門下)3席

16:30「源太と吾空の大冒険2」
出演 桂源太 桂吾空 各2席

木戸銭 それぞれ ¥2500 (前売・当日とも)
チケット専用 09041533562 mugeplan29@au.com

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円楽師匠とのこと(4・最終回)

そして6年後は先週の日曜、高山市民文化会館。月日の経つのはなんと早いことだろう、と感じながら、肌寒い高山駅の改札にお出迎え。師匠は私の姿を見るなり、「おお~、元気か~」と笑って下さった。もう情報で私が長野を出て岐阜で生活をしていることはご存知の師匠だったが、真っ先に田舎の話題を。「〇〇ちゃん、死んじゃったんだよ」〇〇ちゃんとは、先にお話をしたゲートボールの企画を師匠に持ち掛けた旧知の旅館の旦那さん。「はい、存じてます」「そっか、突然容体が急変してな、あっという間だった。俺、お盆に行ってきたんだよ、お参りに」息子とは仲が悪くても、おやじさんは気さくに私に接して下さったので、訃報を聞いたときは驚いたものだ。
「おやじさんたちはどうしてる」
「そうか、まあ、歳だからな」
「ジョンがいなくなってからあの街も統率するやつがいなくなったよな」
私にしかわからない会話を繰り返すたび、私の頭の中は30年以上前にタイムスリップする。深く付き合ってきたわけではないけれど、私が落語に目覚め、この仕事をするきっかけになったのは師匠がいらしたからです。運命のいたずらで今はここにいるけれど、師匠のおかげで少しは呼び屋として東海地区では名も知られるようになりました。
そんなことを師匠に言いたくて言いたくて仕方なかったけど、今日は仕事。仕事以外のことで私情を持ち込んではいけないのだ。そう思いながら、「おい!親不孝者」と呼び止められることをちょっとだけ期待して師匠の控室の前を通る私がいた。

あっという間に公演が終わり、最後に駅で交わした言葉も、他愛もない一言だけ。
「じゃあな、またな」「お疲れさまでした」「・・・・おう」
師匠、あっけなすぎですよ、もっと昔話したかったですよ。だからあれだけ、控室の前を行ったり来たりしたじゃないですか・・・師匠の後姿を追いながら、そんなことを考えていた令和2年11月15日、高山市民文化会館・三遊亭円楽爆笑寄席。
トリの師匠の演目・・・「いたりきたり」。

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円楽師匠とのこと(3)

実家を離れ岐阜で、落語プロデュースの仕事を本格的に始めるようになったのは2005年から。そうは言ってもいきなり大物をお呼びすることなど夢のまた夢。こつこつ、こつこつ。積み上げてきた公演数は優に100を超えたであろう9年後、2014年2月23日、各務原市文化ホールでの会に楽太郎師匠いや、もう6代目円楽になっていた師匠をお呼びすることができた。

「親不孝・・・じゃなくてばちあたりか、とうとうこんな浮き草家業に足を踏み入れやがって」

笑いながら茶化す師匠はあの時のままだった。聞けばぜんそくがひどく体調も悪そうで、心配していたのですが満員のお客様の前で、「ねずみ」を45分の大熱演。緞帳が閉まったあとも立ち上がれず、若手に支えられながらさがって来た師匠が、ソデで頭を下げる私に向かってにやっと笑った。
「お前の見ている前でヘタ打てねえからな」私には師匠が、そういっているような気がしてならなかった。帰りの車に乗り込む前、「今度また、近いうちにお呼びできれば」そう声をかけると師匠は言った。
「期待しないで待ってるからな」
師匠。きちんと事務所を通して適正なギャラで定期的にお呼びできるようになりました。これからは仕事の相手として認識してくださいね。私は心の中でそう言った。言ったはずなのに、再度師匠をお呼びするまでに、また6年もかかってしまったのでした。(つづく)

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